ホースセラピー事業運営の工夫

日本のホースセラピーは、行政や民間の助成金で運営されているケースが多いです。

  助成金は、元々何か新しい事業を始めるときのスタートを援助するものであって、医療報酬や介護報酬のような利用された量に応じて報酬が頂けるものとは別物であり、非常に不安定な財源です。

 よって、途中で断念したり、規模を縮小する乗馬クラブさんが多くあります。 

 そこで、パカラッチョは、ソーシャル自馬会員という仕組みを作りました。

(2019年度で、ソーシャル自馬会員の方が不在となりますので、一旦終了させていただいております。)

 

 

 


ソーシャル自馬会員とは?

 乗馬クラブには自馬会員という仕組みがあります。これは自分の馬を預け、自分が乗って楽しむものです。

 今回のソーシャル自馬会員は、自分の馬をホースセラピー仕様への成長(馴致・調教)に携わることができ、サークルを立ち上げ、主催者としてホースセラピーの会を開催できます。

「将来、自分の馬を持って、障害のある方に乗馬の楽しみを伝えたい!」という「夢」を持つ方にとってメリットなのは、 パカラッチョにリスクや日々の管理などを委託できるので、 自分の「夢」にエネルギーを注ぐことができます。

 

【 パカラッチョへの委託内容 】

◇日常の馬の飼育管理

◇ホースセラピーの調教の指導

◇ボランティア育成

◇月一回のホースセラピーイベント

◇イベント時のコストとリスク

◇本人の乗馬レッスン(空いている時間帯)

【委託料】

 ◇6万円/1月

※自主事業として、ホースセラピーを開催するには、①リスクが高い②利用者から見合った額を請求するには、非合理的すぎる。③行政の支援を期待するには、医療報酬などの現在適当な財源がない。

等の課題があります。

そういった問題解決の一方策として、資金、場所、技術などみんなで力を出し合って、実施できる一つのモデル事業といえます。


ソーシャル自馬会員の楽しみ方

 「私の馬をホースセラピー馬としての成長させ、子どもたちが馬とふれあって喜んでいる様子を一緒に楽しむ」

 このような他人の喜びも含めて自分の喜び(My pleasure)として得られる人にお勧めの会員制度です。

 

 パカラッチョのソーシャル自馬会員であるようこさんは、まず障がい者乗馬ができるサークルを作りました。

 その名前は「そよ風くらぶ」。騎乗したときにそよ風を感じてもらいたいという思いが込められています。

 ネーミングに自分の気持ちを表現する場ががあります。

 

 ようこさんは、子どもたちが自馬のひめちゃんと対面したときのドキドキワクワクの様子みることをとても楽しみにしております。


 

 例えば…

 「子どもたちが自分より大きいひめちゃんによじ登ることができたときの笑顔」

 「ひめちゃんが歩き出して『怖い』っとおもったけど『けっこうできる!』と自信を持ちだしたときの変化の瞬間」

 「自信を持ちだした我が子が凛々しくみえて喜んでいる保護者の姿」

 

 これらは、TVショーの人間模様の歓喜とは違う、目の前のリアルな人の喜びの姿をわたくしごととして共有できます。

 また、自分が育てた馬がみんなを喜ばせるわけですから、喜びのかたちは別格です。

 

 さらに…

「パカラッチョの経験が子どもたちの成長にどのような影響をあたえているのか?」という素朴な疑問から、「作業療法」「感覚統合」などの視点から勉強も始めました。月に一回程度、東京や山梨で講習会や見学会に参加しています(ちなみにようこさんは旅が苦手だったそうです)。まさに学ぶ楽しみ「アクティブ生涯学習」ですね。 

 『気付かないうちにできるようになている…』なぜ?この素朴な疑問から「学び」が始まりました。

非経済合理的なホースセラピーの実情

※リーダーやサイドウォーカーは、大半がボランティアですが、「ボランティア=無料」ではなく、育成にもお金がかかります。

コスト分散のアイデア

ようこさんの「自分でホースセラピーを開催」の夢を実現しようと始まりました。

パカラッチョは委託料をいただけるので、継続的に開催が可能となりました。

そして、安全に開催できる場所とボランティアのサポートにより、低コストで安全で楽しいプログラムが実現しています。


地域包括ケアシステムのアイデアの一つとして提案していきたい。

 このソーシャル自馬会員は、厚生労働省が推進する「地域包括ケアシステム」の保健(健康維持)や予防に該当すると思います。

 「馬が好き」「動物が好き」といった人間の本能に響くもので地域コミュニティを活性化させる。その事例を積み上げていきます。


馬が普通にいる社会へ

 「馬主」というと、大富豪の嗜みのようなイメージがありますが、50年前には、農家が普通に家畜として飼っていました。

 近代化、オートメーション化によって馬の役割が減少し現在に至るわけですが、殺伐とした現代社会で馬を介した癒しとしてのホースセラピーが脚光を浴び始めました。

 新しい馬の活躍の場をもっともっと広めていきたいと思います。